外貨建て保険は危険?必要性を検討

外貨建て保険は危険?必要性を検討

 外貨建保険とは、払い込んだ保険料が外貨で運用される保険商品です。原則として、保険料は米ドルや豪ドル、ユーロなどの外貨で払い込み、保険金、解約返戻金などを原則として外貨で受け取ることができます。以下、個人的な考えですので、最終判断は個人にてお願いします。

外貨建て保険の必要性は?

メリット

○利回りがよい

 外貨建保険では、日本円より比較的高いといわれる海外の金利で運用されるので、外貨建資産として円資産より大きい利回りが期待できます。

○リスクヘッジできる

 運用期間中に日本がつぶれる、ハイパーインフレが起こるなどで日本円が紙くずになっても外貨で運用しているため、運用分の資産を守ることができます。
※日本がつぶれるリスクを考える必要があるかは疑問ですが・・・

デメリット

○手数料が高い!

 保険会社は販売会社(銀行や代理店)に支払う手数料を完全開示していませんが、金融庁が2016年8月に出した報告書によると、保険会社が銀行に支払う一時払い外貨保険の手数料率は平均で6.8%(2015年度)だったようです。投資信託の購入時手数料が平均2%強であるのと比べ、かなり高いことが分かります。この手数料は、保険契約者が銀行など販売会社に直接支払うわけではなく、保険会社が金融機関に支払う仕組みですが、そのお金の出所は契約者の保険料ですので、その分収益性が落ちることになります。利回りが良いと言われても、手数料が高ければ受け取れる金額は少なくなります。お金を増やそうと思ったとき手数料(コスト)はできる限り低いものを選ばないと、効率よく運用することは難しいです。

○保険期間中お金の自由がきかない!

 外貨建て保険でなくても、積立貯蓄型の保険はどれも同じですが、積立期間が短いと元本割れします。また、解約時に手数料を取られる可能性もあります。保険期間中に資金が必要になったなどで、解約したくなっても元本割れ期間が長いと、解約しずらく、自由に引き出せないリスクがあります。

○為替リスク!

 満期を迎えたときに円高であれば、外貨建てでの運用収益があったとしても円ベースでは元本割れの可能性があります。
 例えば、1ドル=100円のときに10,000ドル積み立て、利率2%/年で10年運用した場合

満期までに払った日本円:100円 × 10,000ドル =1,000,000円
満期時に受けとるドル:[計算式] 積立元本  ×(1+利率)^年数
                            10,000ドル  ×(1+0.02)^10年 = 12,200ドル

 2割も増えたと喜ぶ方もいると思いますが、ちょっと待ってください。満期時の円の価値はどうなっているでしょうか?もし、為替レートが1ドル=80円になっていたらどうでしょう?受けとれる日本円は以下のとおり。

満期時に受けとるドル:12,200ドル × 為替レート:80円 = 976,000円

 増えたと思ったのに、元本割れしている!!これが為替リスクです。細かいことを言うと、ドルを円にするためには、「ドルを売って、円を買う」必要がありますので、手数料がかかり、受け取れるお金はさらに減ってしまいます。

 また、元本割れにならないにせよ、契約当初想定していた利回りは見込めず「ほとんど儲からなかった」ということも十分にあり得えます。


例えば、1ドル=100円のときに10,000ドル積み立て、利率2%/年で10年運用した場合

満期までに払った日本円:100円 × 10,000ドル =1,000,000円

満期時に受けとるドル:[計算式] 積立元本×(1+利率)^年数

               10,000ドル ×(1+0.02)^10年 = 12,200ドル

 ここまでは先ほどと同じ。ドルは2割増えました。このとき、為替レートが1ドル=90円になっていたらどうでしょう?
受けとれる日本円は以下のとおり。

満期時に受けとるドル:12,200ドル × 為替レート:90円 = 1,098,000円

 増えたけど、10年で1割しか増えてない上、日本円に変える手数料を引くと、全然増えてない・・・なんてこともありえます。

 一部の保険会社の商品では、「満期を迎えたときに円高であれば、外貨ベースのまま円安になるまで預かる」という特約もあるようですが、すべてではないです。満期時にそのときの為替レートで振り込まれる場合は、こういったリスクがあることも覚えておきましょう。

ほんとうに必要?

 外貨建て保険に例えば、月3万円入れているとしましょう。その場合、最終的に受け取れる金額はどのくらいでしょうか?加入している知人に聞いたところ、30%ほど増えて戻ってくると言われたようです。確かに、満期時に、円安だった場合、受け取れる金額は大幅に増えているかもしれません。もし、円高だった場合、受け取れる金額は少なくなるでしょう。これってギャンブルみたいですよね?ギャンブルにお金を投じるくらいなら、そのお金を積立NISAで投資してみませんか?
3万円/月で20年間積み立てし、年4%で運用した場合、以下のようになります。
積立元本:720万円 最終積立金額:1,100万円  +380万円(+53%)
どうでしょうか?政府の用意した制度を使い、毎月積み立てるだけで、これだけ増やすことができます。

※投資ですので、元本割れのリスク及び予定していた利回りよりも悪い可能性もあります。

まとめ

 外貨建て貯蓄型保険の購入を検討しているのなら、まずは「積立NISA」をはじめてみましょう!税金面での優遇がかなり大きく、為替リスクもありません。
 また、投資できる銘柄は国の基準を満たすもののみなので、比較的安全性も高く初心者でも始めやすいです。まずは、証券口座を開設しましょう。楽天サービスを利用する上でも、メリットの高い楽天証券をおすすめします。

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