「儲かる」は嘘!?知らないものに投資していはいけない

「儲かる」は嘘!?知らないものに投資していはいけない

 金融商品の営業等でこの商品は「儲かる」「安全でおすすめだ」と言われることがあります。投資したいけど、あまり知識が無い場合、おすすめされているし、儲かるならと深く考えずに、購入してしまうことがあるかもしれません。

 株価の推移を成果に予測できる人がいないため、投資において「絶対に儲かる」ということは言い切れないはずです。もし、本当に絶対に儲かるものがあるのなら、他の人に勧めずとも自分は投資しているはずです。

 投資するためには、その商品がどういったものか知っておく必要があります。知らないものに投資するということは、どんなリスクがあるかもわからないということです。

 今回は、「サブプライムローン問題」を例にして、知らないものへ投資してはいけないということを解説していきます。興味のある投資信託等の金融商品がある場合は、しっかり調べたうえで、投資の判断ができるようにしましょう。

世界金融危機を招いたサブプライムローンは、金融商品に組み込まれていた!?

サブプライムローンとは?

 主にアメリカで行われていた住宅ローンの一種です。サブとは二番手、格下という意味。プライムローンは、一般的な住宅ローンのことです。つまり、普通の住宅ローンを組めない人でも組むことができる住宅ローンです。

 このローンの大前提は、住宅価格が上昇するということ。ローンが返済されなくても、値上がりした物件を競売にかければ、貸したお金以上を得られ、儲けられるという仕組みでした。

金融商品に組み込まれていた!?

 ローンが金融商品に組み込まれていたと言われてもイメージできないと思います。

 アメリカでは、ローン会社がサブプライムローンを「債券」として、投資銀行(日本でいう証券会社)に売りました。そして、投資銀行はその債券を様々な債券(社債、サブプライムローン以外の住宅ローン債権など)を組み合わせて、「証券」にして、金融商品として販売しました。

 販売されたこの「証券」を別の証券会社や投資銀行が購入し、さらに別のサブプライムローン債権を混ぜてパッケージ化し、販売するというループが起こり、何が含まれているか把握できない「証券」が出回りました。

なんで売れたのか?

 ここまでの話だと、得体の知れない金融商品がなぜ売れるのか疑問が浮かびます。

 答えは、スタンド&プアーズ、ムーディーズなどの格付け会社が「トリプルA」の判定を付けたから。

 一般的に一つの金融商品よりも様々な金融商品を組み合わせた方がリスクを分散できます。この証券もサブプライムローンを含む様々な債券をセットにしていたため、リスクが低いと判断され「トリプルA」判定を得てしまいました。

住宅バブルの崩壊

 サブプライムローンで住宅を建てる人が増えバブル化していきましたが、崩壊してしまいました。その結果、サブプライムローンを返せない人が増える→競売で売っても価値が下がっており、お金を回収できない→債権の価値が下落する。という悪循環に陥りました。

 しかし、すべての人がローン返済不可になったわけではないので、債券の価値が「ゼロ」にはなりません。では、なにが問題だったのでしょうか?

証券を売れなくなった!

 証券市場では、売り手と買い手がいて成り立っています。〇円で売りたい人がいて、〇円で買いたい人がいれば、売買が成立します。

 サブプライムローンの問題は、どの証券にどのローンが組み込まれていたのか、すぐに判断できないくらい、複雑に混ぜられてしまったことでした。すぐに価格の計算ができず、売買不能となったのです。売却できない債権は「紙屑」同然です。

銀行間の信用がなくなり、お金の流れが停止

 この紙屑同然の債権を世界中の銀行や証券会社が保有していました。世界中の銀行が、どの銀行がどの程度損しているか分からず、大損を抱えた銀行にお金を貸すと帰ってこないかもと疑心暗鬼になり、銀行間のお金のやりとりが機能しなくなりました。そうすると、銀行からお金を借りたい企業がいても、お金が無くて貸せないという状況に陥りました。

銀行や企業の破綻

 銀行も自分たちのお金がなくなり破綻、企業も借りたいけど借りられず破綻又はリストラ等の経費削減をとらざるをえず、金融危機は世界中に広がりました。

 このあとにリーマンブラザーズの破綻など続きがありますが、割愛します。興味のある人は以下の本を読んでみてください。すぐに読めますが、サブプライム問題が簡潔にまとめてあり、とても勉強になります。

まとめ

 この例は、規模が大きく、個人投資家には、関係ないように思えるかもしれませんが、みんながサブプライムローンのリスクを甘く見ていたこと、中身のよくわからない証券をランクで安全と判断し、買ってしまったことが原因なのではないでしょうか?

 最近では中国の恒大集団のデフォルトが話題になりました。この会社の社債も「トリプルA」を獲得していました。格付けを信用するなというわけではなく、格付けだけを判断基準にしてはいけないということです。

 社債や株式であれば、どんな会社なのか知ったうえで、投資信託などのパッケージ商品であれば、なにが組み込まれているのか中身をしっかり理解し、リスクも分かったうえで、投資する必要があります。

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