老後資金の準備に「トンチン年金」は必要?トンチン年金について解説

老後資金の準備に「トンチン年金」は必要?トンチン年金について解説

 トンチン年金って聞いたことあるでしょうか?これは個人年金保険の1種であり、最大の特徴は年金給付が障害続くことです。これを聞くとすごくお得な保険のように感じるかもしれませんが、当然ながらデメリットもあります。

結論から言うと、「おすすめできません」。

 メリット・デメリットを解説します。老後資金の準備はみんな不安になることだと思います。少しでも参考になれば幸いです。

トンチン年金保険ってどんな保険?

 長生きすることを前提として設計された年金ですので、早くに亡くなる・途中解約した場合は損が大きいです。
トンチン年金保険の特徴は以下のとおりです。

受給額はどのくらい?

【70歳まで払い込んで70歳から受け取る場合(受給保証10年)】
契約時期:55歳
月保険料:54,000円

 性別  70歳からの受給額   払込額<受給額   
となる年齢   
 100歳までの   
 累計受取額   
  男性    51.11万円  89歳 1,584.41万円
  女性   41.08万円  93歳 1,273.48万円
※第一生命さんの「ながいき物語」を参考にさせてもらいました。

15年間の払込期間で払込総額は9,720,000円(54,000円 × 12月 × 15年)
女性のほうが平均寿命が長いためか、受給額が低く設定されています。

メリット

長生きすればするほどお得

 契約時に年金の保証額が決定され、生きている間(一生涯)給付が続きます。長生きすればするほど、お得になります。生きている限りお金は必要ですので、生涯給付が続くというのは最大のメリットです。

支払い保証期間が設定されている

 5年、10年、15年など保証期間を設定でき、保証期間中に亡くなった場合も、その期間分は受給することができますので、完全な掛け捨てにはなりません。※設定する保証期間によって受給額に影響します。

デメリット

・保険料払い込み期間中の死亡保障を行わない or 金額が低い

 長生きを前提としており、受給できる年金額を増やすために死亡保障が無い or 低く設定されています。万が一払い込み期間中に亡くなってしまった場合、損失が大きくなります。

・途中解約時の返戻金が少ない

 こちらも↑と同様で、受給できる年金額を増やすために途中解約の返戻金を低く抑えられています。途中でやっぱりいらないと思い解約すると損失が大きくなります。

・早く亡くなると 払込額>受給額 となる

 生涯支払いが続く保険ですので、長生きするほどお得になります。逆を言えば、早く亡くなってしまうと 払込額>受給額 となり損をしてしまいます。

※メリットで解説しましたが、受給保証期間が設定されていますので、保証期間内に亡くなった場合でも保証期間分は受給することができます。

・物価上昇に対応できない

 公的年金では物価上昇を考慮し、年金の増額が行われます。しかし、民間の個人年金保険は物価上昇が考慮されません。契約時に受給額を決定するので、その先いくら物価が上昇しても受給額の増額は行われません。極端な例ですが、契約から20年後に物価が契約時の2倍になっていた場合、受給時には契約時の半分の価値しかない受給額となってしまいます。

総評

 長生き前提ですので、長生きしなかった場合の損失が大きいです。自分が何歳まで生きられるかは誰にもわかりません。事故や災害、病気などあげればきりがないほどリスクにさらされています。しかし、ひと昔前に比べると格段に医療技術が進歩しているので、昔は治らなかった怪我や病気でも治るようになり、長生きできる可能性は上がっています。

 また、解約返戻金がかなり低く設定されていますので、もし途中でお金が必要になり解約したいとなった場合、損失が大きくなってしまいます。当然ですが、預金が一番安全です。何かあったときのために使える預金が無いのなら、加入すべきではないと思います。

 それでもやはり、長生きするかも・不測の事態がおきるかも、結果は誰にもわからないので、この保険はギャンブル性があるように感じます。自分が長生きできる・不測の事態が起こらないと自信がある方は、加入を検討してもよいでしょう。当たった時のリターンは大きいです。

なにで老後資金を準備すればいいのか?

公的年金の繰り下げ受給

 老後資金でまず検討すべきは公的年金の繰り下げ受給だと思います。本来であれば65歳から給付される年金を最大で5年間繰り下げることができ、1ヵ月繰り下げることで「0.7%」増額となります。
最大で「42%(0.7%×12ヵ月×5年)」も増額することができます。

資産運用する

 積立NISAやiDeCoなどの優遇税制を使って、積立投資するのもお勧めです。危険性が少なく、手数料が安い「インデックスファンド」を長期積立しましょう。

 例えば、積立NISAで満額積み立て(40万円/年)、年率4%で運用した場合、12,225,699円になります。
(積立元本:33,333円/月 × 12 × 20年 ≒ 8,000,000円)

これだけで、必要だと言われている2,000万円の6割をカバーできます。積立NISAと合わせてiDeCoも併せて行うことで、老後資金を準備できると思います。

年金受給まで働く

 働き手不足のあおりで、定年延長や再雇用が広がってきています。最悪、老後資金の準備ができていなければ、働きましょう。今の職場の継続雇用が難しい場合でも、探せばいくらでも仕事は見つけられると思います。最低生活費を把握できていれば、その分だけ稼げればいいので、必ずしもフルタイムで働く必要はないと思います。

まとめ

 ギャンブル性のあるトンチン年金を検討する前に「公的年金の繰り下げ受給」、「積立NISA」や「iDeCo」といった優遇税制による資産運用を検討するべきではないかと思います。

 保険会社も商売ですので、儲けるためにいろいろな商品を開発していますね。なんでもそうですが、自分が納得したものを購入(契約)できるように知識のアップデートを続けることが大事です。

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